CTIシステムとは?仕組みとPBX・CRMとの違いを図解
CTIシステムとは何かを、仕組み・機能・費用まで解説。混同されやすいPBXやCRMとの違い、クラウド型とオンプレミス型の選び分け、導入前に確認すべき6項目もまとめました。
CTIシステムとは
CTI(Computer Telephony Integration/コンピュータ電話統合)とは、電話とコンピュータを連携させる仕組みのことです。
具体的には、電話の着信・発信という動作と、パソコン上の顧客データベースを結びつけます。これによって、次のようなことが自動で起きるようになります。
- 電話がかかってきた瞬間に、相手の会社名・担当者名・過去の対応履歴が画面に表示される
- 顧客リスト上のボタンを押すだけで電話がかかる
- 通話がすべて自動で録音され、顧客情報に紐づいて保存される
- 誰が何件かけて、何件つながったかが自動で集計される
要するに、「電話という業務だけが情報システムから切り離されている状態」を解消する道具です。
※CTIという略語には、サイバーセキュリティ分野の Cyber Threat Intelligence、医療の三尖弁峡部(Cavo-Tricuspid Isthmus)、電気材料の耐トラッキング指数(Comparative Tracking Index)など、同じ綴りで意味の異なるものがあります。この記事で扱うのはすべて電話システムのCTIです。
CTIがない状態と、ある状態
言葉だけだと伝わりにくいので、実際の業務の流れで比べます。
受電のとき
CTIなし
電話が鳴る
→ 番号だけが表示される(誰か分からない)
→ 「お電話ありがとうございます、株式会社◯◯です」
→ 相手が名乗る
→ 別画面で顧客システムを開いて検索
→ 会社名で検索、ヒットしない、担当者名で検索…
→ ようやく履歴が出る(ここまで30秒〜1分)
→ 通話後、対応内容を手で入力
CTIあり
電話が鳴る
→ 同時に画面に顧客情報と前回の対応履歴が表示される
→ 「お世話になっております、株式会社◯◯の△△様」
→ 前回の話の続きからすぐ入れる
→ 通話は自動録音。履歴は自動で紐づく
発信のとき
CTIなし
リストから番号を目で追う
→ 電話機で番号を押す(押し間違いもある)
→ 通話
→ 結果をExcelに手入力
→ 次の行へ
CTIあり
リスト上のボタンをクリック → 発信
→ 通話(自動録音)
→ 結果をプルダウンで選択 → 次の相手へ自動で進む
1件あたりの差は数十秒ですが、1日100件の架電なら1時間以上、20営業日で20時間以上の差になります。
CTIの仕組み
CTIは単体で動くものではなく、電話網とコンピュータの「あいだ」に入る層です。
┌─────────────────────────────────────────┐
│ 電話網(NTT/キャリア/IP電話事業者) │
└──────────────────┬──────────────────────┘
│
┌──────────▼──────────┐
│ PBX │ ← 交換機。内線・外線の接続、
│ (構内交換機) │ 転送、保留を制御する
└──────────┬──────────┘
│
┌──────────▼──────────┐
│ CTI │ ← ★ここ。PBXとPCをつなぐ層
│ (連携ミドルウェア) │ 着信情報を受け取り、
└──────────┬──────────┘ PCに指示を出す
│
┌───────────────┼───────────────┐
│ │ │
┌──▼───┐ ┌─────▼─────┐ ┌────▼────┐
│ソフト │ │ CRM/SFA │ │ 録音 │
│フォン │ │ (顧客DB) │ │ サーバ │
└──────┘ └───────────┘ └─────────┘
流れを追うと、こうなります。
- 電話網から着信が入る
- PBXが着信を受け、発信者番号を取得する
- CTIがPBXから番号を受け取り、CRMに問い合わせる
- CRMが該当する顧客情報を返す
- CTIがオペレーターのPCに「この顧客情報を表示しろ」と指示する
- 画面にポップアップが出る
クラウド型の製品では、PBXとCTIと録音がすべて提供事業者側のサーバ上にあり、利用者はブラウザかアプリを開くだけで使えます。
PBX・CRM・コールセンターシステムとの違い
ここが最も混同される部分です。整理します。
| 何をするものか | たとえるなら | |
|---|---|---|
| PBX | 電話回線の交換機。内線・外線の接続、転送、保留、複数の電話機の制御 | 電話網側の配電盤 |
| CTI | PBXとコンピュータをつなぐ連携層。ポップアップ、クリック発信、録音の制御 | 両者をつなぐ変換プラグ |
| CRM/SFA | 顧客情報・商談履歴を蓄積して管理するデータベース | 情報側のカルテ棚 |
| コールセンターシステム | 上記をまとめてパッケージ化した製品の総称 | 一式セット |
なぜ混同されるのか
理由は、最近のクラウド製品が3つを内包しているからです。
かつてはPBXは物理的な機械で、CTIは別のソフトウェアで、CRMはまた別のシステムでした。今のクラウド型CTIは、PBX機能もCRM機能も最初から入っていることが多く、境界が見えなくなっています。
ただし製品によって含まれる範囲は違います。比較するときは必ず次を確認してください。
- PBX機能は含まれているか(含まれていなければ既存PBXとの接続が必要)
- CRM機能は含まれているか(含まれていなければ別途CRMの契約が必要)
- 既存のCRMと連携できるか(ネイティブ連携かAPIか、連携費用は別か)
「CTIを導入したのに、結局CRMを別で契約することになった」というのはよくある想定外です。
CTIとCRMの違いをもう一段詳しく
質問としてよく挙がるのでもう少し書きます。
CRMは「情報を貯める箱」です。 顧客の会社名、担当者、連絡先、過去の商談、購入履歴といったデータが入っています。ただしCRM単体では、電話がかかってきても何も起きません。人間が検索して初めて情報が出ます。
CTIは「電話とその箱をつなぐ配線」です。 着信番号をキーにCRMを自動検索し、結果を画面に出す。この「自動で」の部分がCTIの仕事です。
だから両者は競合ではなく、セットで初めて機能します。
CTIの主な機能
上位の解説記事10本がほぼ共通して挙げていた7つです。
受電側の機能
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 着信ポップアップ | 着信と同時に顧客情報・対応履歴を画面表示 |
| ACD(着信呼自動分配) | あらかじめ決めたルールで担当者に自動振り分け。特定の人への集中を防ぐ |
| IVR(自動音声応答) | 「◯◯の方は1を」の自動音声案内。用件別の振り分けと時間外対応 |
| 待ち呼管理 | 待機中の件数を可視化し、放棄呼を減らす |
発信側の機能
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| クリック発信 | リスト上のボタンで発信。押し間違いがなくなる |
| オートコール/プログレッシブコール | 1件終わると自動で次へ |
| プレディクティブコール | 空き状況を予測して複数回線に同時発信。つながった通話だけ接続 |
共通の機能
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 通話録音 | 全通話を自動録音。証跡・教育・品質管理に使う |
| モニタリング/ウィスパリング | 管理者が通話を聞く/オペレーターにだけ聞こえる声で指示する |
| レポート・分析 | 架電数、通話時間、応答率、アポ率などを自動集計 |
| 文字起こし・AI解析 | 通話内容をテキスト化し、話速や話者比率を評価(近年の標準機能) |
CTIの種類
クラウド型とオンプレミス型
| クラウド型 | オンプレミス型 | |
|---|---|---|
| 設置場所 | 提供事業者のサーバ | 自社内のサーバ |
| 初期費用 | 0円〜30万円程度 | 数十万〜数百万円 |
| 月額 | 席数課金が主流 | 保守費用(ライセンス価格の20%前後/年)が一般的 |
| 導入期間 | 数日〜2週間 | 1〜3ヶ月 |
| カスタマイズ | 製品仕様の範囲内 | 自由度が高い |
| 在宅・多拠点 | 標準対応 | VPN等の追加構築が必要 |
現在の主流はクラウド型です。 オンプレミスを選ぶのは、セキュリティ要件で社外にデータを置けない場合か、基幹システムと深く結合させる必要がある場合にほぼ限られます。
インバウンド型とアウトバウンド型
| インバウンド型 | アウトバウンド型 | |
|---|---|---|
| 用途 | 問い合わせ窓口、カスタマーサポート、受注 | テレアポ、督促、アンケート、既存顧客フォロー |
| 重視される機能 | IVR、ACD、待ち呼管理、応答率 | 発信効率、リスト管理、架電履歴、アポ率 |
| 評価指標 | 応答率、待ち時間、一次解決率 | 架電数、接続率、アポ率 |
ここを取り違えると導入が失敗します。 インバウンド向け製品にアウトバウンド機能を後付けすると、機能が中途半端なのに費用は上がる、という結果になりがちです。実際、ある大手製品ではアウトバウンド機能は月額10万〜20万円のオプション扱いになっています。
用途を先に固めてから製品を絞ってください。
CTIの費用
質問として最も多いのに、最も情報が出てこない部分です。構造から説明します。
料金は4つの層に分かれている
① 初期費用 0円 〜 82万円(1回のみ)
② 月額基本料金 0円 〜 15万円(システム全体に対して)
③ 席数課金 1,500円 〜 15,000円 × 席数(毎月)
④ 通話料 従量課金(別途・単価非公開の製品が大半)
多くの記事が「月額5,000円〜」とだけ書きますが、それが①②③のどれを指すのかで、10席導入時の総額は倍以上変わります。
クラウド型とオンプレミス型の費用比較
| クラウド型 | オンプレミス型 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜30万円 | 30万円〜数百万円 |
| 10席の月額 | 6万〜15万円 | 保守費用のみ(年額でライセンスの20%前後) |
| 5年総額の傾向 | 継続課金が積み上がる | 初期が重く、後半は軽い |
おおむね3〜5年を超える運用ならオンプレミスのほうが安くなるという計算になりますが、ハードウェアの更新、OSのサポート終了、担当者の異動といったリスクを含めると、単純な金額比較にはなりません。
見落とされやすい費用
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 通話料 | 別途請求が原則。発信量が多い業務では席数課金を上回ることがある |
| 回線費用・番号発行費 | システム料金とは別。番号数に応じて課金される |
| CRM連携オプション | 月額2万〜3万円の有料オプションになっている製品がある |
| 録音の追加容量 | 標準容量を超えると従量課金 |
| API連携 | 月額2万〜8万円程度の製品がある |
| SMS送信 | 通数課金(12円/通程度) |
見積を取るときは、「10席で1年間運用した場合の総額」を必ず出してもらってください。 月額単価だけの比較は意味がありません。
導入前に確認すべき6項目
1. 利用人数と規模はどのくらいか
最低契約席数がある製品と、1席から使える製品があります。また、席数によって単価が変わる製品も多いため、将来の増減を見込んで確認してください。
2. インバウンドかアウトバウンドか
前述のとおり、ここが製品選定の分岐点です。両方使う場合は、どちらが主かをはっきりさせてください。
3. 自社のネットワークは耐えられるか
クラウド型はインターネット経由で音声を運びます。トライアルは必ず本番の回線・本番の時間帯に行ってください。 昼休み明けや夕方の混雑時に音が途切れるかは、空いている時間に試しても分かりません。
4. 既存システムと連携できるか
「連携できる/できない」ではなく、連携の方式を確認します。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| ネイティブ連携 | 設定だけで使える。対象システムは限られる |
| API連携 | 柔軟だが開発工数と費用がかかる |
| CSV連携 | 安価。リアルタイム反映はできない |
5. 在宅勤務や複数拠点で使うか
クラウド型なら標準で対応できますが、録音データの保存場所とアクセス権限は別途確認が必要です。
6. 解約時にデータを持ち出せるか
通話録音、顧客データ、履歴をどの形式でエクスポートできるか。ここを確認せずに契約すると、乗り換え時に資産を失います。
CTIを導入すべきタイミング
次のような状態なら、検討する価値があります。
- 応答率が低い(かかってきた電話を取りこぼしている)
- 通話後の入力作業に時間がかかっている
- 特定の担当者に電話が集中している
- 「あの顧客のことは◯◯さんしか知らない」状態がある
- 通話料が想定より高い
- 1人あたり1日30件以上の発信、または月100件以上の受電がある
逆に、1〜2人で1日20件程度の架電なら、CTIを入れるより手作業のほうが安上がりな場合もあります。規模と費用のバランスで判断してください。
よくある質問
Q. CTIとは何の略ですか?
A. Computer Telephony Integration の略です。日本語では「コンピュータ電話統合」と訳されます。
Q. 電話のCTI機能とは何ですか?
A. 電話の着信・発信という動作を、パソコン上の顧客情報と連動させる機能のことです。着信時の顧客情報ポップアップ、リストからのクリック発信、通話の自動録音などが代表的です。
Q. CTIとCRMの違いは何ですか?
A. CRMは顧客情報を蓄積・管理するデータベース、CTIは電話とそのデータベースをつなぐ連携の仕組みです。役割が異なるため、多くの場合は両方を組み合わせて使います。
Q. PBXとCTIの違いは何ですか?
A. PBXは電話回線を制御する交換機で、内線・外線の接続や転送を担当します。CTIはPBXとパソコン側のシステムをつなぐ層です。PBXがなければ電話そのものが成立せず、CTIがなければ電話と情報システムが連動しません。
Q. CTIシステムの仕組みはどうなっていますか?
A. 着信時、PBXが発信者番号を取得し、CTIがその番号でCRMを検索し、該当する顧客情報をオペレーターの画面に表示させます。クラウド型ではこの一連の処理が提供事業者のサーバ上で行われます。
Q. CTIシステムの料金はいくらですか?
A. クラウド型で初期費用0円〜30万円、月額は1席あたり1,500円〜15,000円が公開情報での幅です。中央値はおおむね5,000〜6,000円/席。これに通話料が別途かかります。
Q. CTIシステムにはどんな種類がありますか?
A. 設置形態でクラウド型とオンプレミス型、用途でインバウンド型とアウトバウンド型に分かれます。この2軸の組み合わせで4パターンあると考えると整理しやすくなります。
Q. CTIシステムはスマホでも使えますか?
A. 使えます。ただし「スマホアプリでソフトフォンを動かす(回線はIP)」タイプと、「携帯回線そのもので発着信する(090/080番号)」タイプでは中身がまったく違います。後者に対応した製品は非常に限られます。
Q. コールセンターのCTIシステムとは何ですか?
A. コールセンター向けにACD・IVR・モニタリング・レポートなどを強化したCTIを指します。一般的なCTIとの違いは、複数オペレーターの管理機能が充実している点です。
まとめ
- CTIは電話とコンピュータをつなぐ連携の仕組み。PBX(交換機)とCRM(顧客DB)の間に入る
- 導入すると、着信時の顧客情報ポップアップ、クリック発信、自動録音、自動集計が実現する
- PBX・CRM・コールセンターシステムとは役割が違う。製品にどこまで含まれるかを必ず確認する
- 種類はクラウド/オンプレとインバウンド/アウトバウンドの2軸。用途を先に固める
- 費用は4階建て。月額単価ではなく「10席1年の総額」で比較する
- トライアルは本番の回線・本番の時間帯・実際の担当者で行う
具体的な製品ごとの料金と機能は CTIシステム比較20選【2026年】 にまとめています。